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秋の「黒」の装いは、ひとさじのアンティークジュエリーを

2025.10.12Wear

*この記事は「暮らしとおしゃれの編集室」おしゃれさんコーディネートに掲載しているコラムです。


ご無沙汰している間に季節は進み、もう10月。

今年もあと2ヶ月か……と、ついカウントしてしまう月に突入しましたね。

皆さん、いかがお過ごしのことでしょうか。

暑い暑いと毎日冷房が欠かせなかったのに、最近では朝晩の空気がすっかり落ち着いてきて、

一日を通しても過ごしやすくなってきました。


小さい頃は苦手だった田畑の野焼きの香りも、今ではどこか懐かしく落ち着く匂い。

金木犀のあの芳しい香りが漂って来るのもそろそろかな、と思わず深く深呼吸したりしています。

お出かけにも最高の季節。

各地でマルシェや催しが増えるのも、やはりこの時期ですね。

週末に仕事がある私は、「いいな……」と指をくわえて見ているのですが、

ときにはラッキーな出来事が舞い込んでくることがあります。


先日、私の人生の先輩でありお客様でもある方が、アーユルヴェーダのカフェを開かれました。

そのプレオープン日がちょうど当店の定休日。「これはチャンス!」とすぐに予約を入れました。


いただいたのは、シャドラサカレーセット。


シャドラサとは、「甘・塩・酸・辛・苦・渋の六味(ろくみ)」をバランスよく調和させることで

体を強く丈夫にし、心を満たすというもの。


すべてが美味しくて、ペロリと完食。中でも豆のカレーと、ウラド豆のワダが特に美味しく印象的でした。

「岩塩とスパイスだけで、こんなに深みのある味が出せるとは……!」と嬉しい驚き。

初めての味なのに、どこかホッとする。

その味は、まさに作り手ご本人のような、穏やかで温かい、そんな落ち着く食事体験でした。

さらに、その食事に使われていたカトラリーは、以前当店でお選びいただいたドイツの古いもの。

「どんなふうに使ってもらえているかな?」と伺うのも、楽しみのひとつです。

シルバーのカトラリーにブラスのレスト、フィンガーボウルやお手拭き入れなど、

金属の質感の調和が本当に美しく、木調のテーブルや器にも自然に馴染んでいて、とても嬉しい気持ちになりました。

さて、気温が落ち着いてきた今は、本格的な衣替えのタイミング。

「そろそろこれ、着られるかな?」とワードローブからお気に入りを取り出しながら、

今年の秋には何をプラスしようかと想像を膨らませています。


まず手に取りたくなるのは、夏のあいだ少し遠ざかっていた「黒」。

その黒をベースに、さりげなくアンティークジュエリーを添えて、秋のムードを高めたい。


というわけで、今回はそんなスタイリングをご紹介します。



「コットンブラウスを一枚で」

まずは、今の気候に丁度良いこのブラウスから。

一枚でさらっと着られる、1950年代頃のコットンブラウス。

今探すとなかなか見つかりにくくなったフレンチのホワイト。シンプルで控えめな装飾が魅力的な一着です。


「脱ぎ着しやすいブルゾンと一緒に」

コンパクトなサイズ感に、短めのボックスシルエットは重ね着に最適。

「prit(プリット)」の軽い別珍ブルゾンを羽織れば、急なお出かけにも上品に仕上がります。

ボトムス次第ではオケージョンにも使えそうで、何かと重宝しそう。


ノーカラーだからこその遊べる首回りの余裕。

この日は靴モチーフのネックレスをプラス。

別珍素材と合わせてクラシカルに、レディな装いに仕上げます。


さらに手元には、さりげない輝きが存在感を放つ、ダイアとサファイアのアンティークリングを。


ふと視線を落としたとき、気分がふっと上がる……そんな存在感のある輝きです。


ボトムスには、こちらも暑くて疎遠していたデニムを合わせて、気負わない日常のスタイルに。


「BRENA(ブレナ)」のビヨードでワントーンコーデ」

続いては、「BRENA(ブレナ)」のビヨードを主役にした、黒のワントーンコーディネート。

“ビヨード”とは、19~20世紀中頃、フランスの羊飼いや牧畜関係者が作業をする際に着ていた、ワンピースのようなスモックのこと。


ギャザーやバルーンスリーブが華やかで、女性らしさと格好良さが同居した一着です。

気軽に着られるのに、特別なお出かけにも素敵。これが作業服の形だっただなんて!



一役かっているのが、素材のモールスキン。

モグラの肌に似た、滑らかで光沢感のある生地は、カジュアルながらもどこかきちんとした佇まい。

洗いを繰り返すうちにふんわり起毛し、育っていく表情が魅力なんです。



首元にはマザーオブパールのブローチを添えて。ボタンの白とリンクさせ、全体に統一感を出してみました。

貝殻ならでは控えめなオーロラカラーが、モールスキンに似合います。


ブローチを身に付けるポイントの一つは、

洋服の縫製された所に持ってくること。

そうする事で洋服の一部のようになり、よりさりげなく身につけられるのでおすすめです。



「アウターにもなるビヨードを羽織って」

ある日は、ビヨードをオープンにして、アウターのように羽織るスタイルもおすすめ。


インナーには、

その着心地の良さからファンの絶えない「WILLIAM LOCKIE(ウィリアムロッキー)」

のメリノタートルを挟んで一気に秋ムードに。


耳元には、イミテーションパールのスクリューイヤリングを。

一気に女性らしさが加わって、グッと華やかな印象になりますね。

チェーンでパール同士が繋がれた、立体感のあるデザインで遠目で見ると、

浮いてるようにも見えて素敵なデザイン。


ボトムスも「BRENA」から。

デッドストックのシルク混ウールキュロットで縦ラインを強調すると

スタイルアップ効果で軽やかな印象に。



「特別な羽織りとネックレス」

色違いのタートルには、100年ほど前のライトモールスキンのコートを。

コートと言ってもシャツくらいの薄手素材ながら、たっぷりとした丈感と柔らかく育った生地が贅沢な一枚です。


目にも鮮やかなブルーにあわせたのは、バタフライウィングネックレス。


バタフライウィングとはその名の通り

“モルフォ蝶”と呼ばれる世界で最も美しい蝶の羽がそのまま入ったロケットネックレスで、鮮やかなブルーが特徴。


それはそれはとても綺麗なブルーで、タートルの色と同調。


ブルーデニムをボトムスに合わせて全体的な色を絞ることで、トーンに統一感を出します。


「ワンピースに羽織って、スカーフクリップをポイントに」

さらに、贅沢な生地感が魅力の「FACTORY(ファクトリー)」のコットンワンピースに羽織って。


そして“さりげなさ”をプラス。スカーフクリップをセット。



こちらは、イヤリングのように留め具を広げてスカーフを挟むものなのですが、

爪があるのでスカーフが滑り落ちにくく、ちょっとしたアクセントにこうしてコートなどに添えても

素敵なアクセントになります。


本来通りスカーフに留めとしても。


コートは、ベルトを回してワンピースのようにも。

気分で使い分けるとまたさらに楽しめそうです。



飽きのこない黒。

取り入れるだけで“こなれた印象”を演出できる色として、スタッフの毎日の装いにも欠かせません。今年の秋は、アンティークジュエリーとともに、そんな黒を基調としたスタイリングを楽しんでみてはいかがでしょうか。

秋らしいおしゃれを、どうか長く楽しめますように……。

Chie

category : Wear