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「今日はどっちが着る?」 秋のお出かけは、ユニセックスのジャケットを

2025.10.19Wear

*この記事は「暮らしとおしゃれの編集室」おしゃれさんコーディネートに掲載しているコラムです。

夫婦で同じ服を共有できるというのは、案外いいものです。

クローゼットの中で、いつのまにか境界が曖昧になったシャツやジャケットたち。

最初は自分用だったはずが、気づけば妻の方がよく着ていたりします。


袖の折り方も、ボタンの留め方も、それぞれ違って、同じ服なのに、まるで別の顔をしたりします。

「今日はどっちが着る?」と、朝の支度の合間に目が合って、互いの服が混ざり合うのも、もう慣れっこ。

合わせるものを相談しながら、譲り合って、結局どちらかがそっと袖を通す。

長く一緒にいるからこその、穏やかなちょっとしたやりとりがあります。




 

風が変わり、日差しがやわらぐころ。

木の下には、どんぐりがそこらじゅうに転がっています。

拾ってみれば、すべすべした感触がなんとも心地いい。

「どっちがいい形を見つけられるか」なんて、ついつい夢中になってしまう(笑) 。


そんな秋晴れの午後、「YARMO(ヤーモ)」のシャツジャケットを羽織って、公園まで出かけます。


イギリス「YARMO」のギンガムチェックのウールシャツ。

「ギンガムチェック」と聞くと、可愛らしい印象を持つもの。

でもこのシャツは、いい意味で“渋い”一枚。




ウールの柔らかさに、ほんの少しのハリ。


ブラウンの濃淡が静かに存在を主張する。

肩の落ちたシルエットは、男女どちらにも似合うバランスで、ワークシャツでありながら、羽織るとどこか上品な雰囲気をまといます。


YARMO ウールシャツジャケット

UK

¥20,900 (19,000)

「YARMO」はイギリスの老舗ワークウェアブランド。

機能的でありながら、どこかに余裕を感じさせる服作りが魅力です。


このウールシャツもそう。

ボタンを上まで留めれば真面目に、前を開ければ軽やかに。

着る人の気分で表情が変わるあたり、まるで英国紳士が作った“遊び心”のようにも思えます。




この日は生成りのカットソーに、同じく「YARMO」のコーデュロイサロペットを合わせて。


ワークブランドらしい形でありながら、日常にもお出かけにも馴染むデザインです。


やわらかな生地感とぬくもり感を持つコーデュロイ生地は、とても軽くて快適。

その日の気分やシーンに合わせてインナーを変えて、多様な組み合わせを楽しめるアイテムのひとつです。




少し肌寒くなったら、上から「YARMO」を軽く羽織る。

肩の力が抜けた装いなのに、どこか品があって、歩くたびに秋の空気が少しだけ動くような気がするのです。




長めの着丈はユニセックスならでは。オーバーシャツが持つ、包まれるような安心感があります。






それから別の日は、黒のキュロットに白いブラウス。

美術館へ行く日のコーディネートは、少し“清楚”なムードにまとめて。

ウールのシャツをジャケット代わりにさらりと羽織って。


モノトーンにブラウンを重ねると、全体がやわらかくまとまる。

時に光と影のコントラストが際立って、静かな凛々しさが生まれたりします。

明るい時間帯に着ても、重たくならない色合わせ。動きに合わせて生地が少し揺れる感じもいい。


小物は黒でまとめて、少し引き締める。全体に落ち着きが出て、秋らしいバランスに。

「今日はこの服で歩きたい」と思えるだけで、いつもよりもよい気分になるのです。


同じ「YARMO」を着ても、見え方はまるで違う。

女性が着れば軽やかに、男性が着れば落ち着いた印象に。生地の張りや丈感がどちらにもよく合うのが、この服のいいところ。

ユニセックスの服は便利ですが、ただ「共有できる」だけじゃなくて、着る人の癖や動きがそのまま形に出るので、同じ服でも着方に個性が生まれます。




今週はきっと“私の番”。

ある日は、白のタートルにスラックス。

その上から「YARMO」を羽織れば、落ち着きの中に軽やかさが生まれる。

またある日は、カーキのコーデュロイパンツに黒のニット。

ブラウンを重ねると、自然の中に溶け込むような穏やかさが出る。

派手ではないのに、なぜか目を引く。

光の当たり方ひとつで、布の表情がころころ変わるのが面白い。

着る人が変わると、同じシャツでも風の通り方が違う。

同じ服でも、その日の空気や気分、隣にいる人によってまるで別のものに見える。


服を共有するということは、つまりそういうことなのかもしれない。

帰り道、ポケットの中からどんぐりが出てきたりして……。


どっちの服だったかは、もう分からない。

季節の変わり目に同じ服を羽織る。

一緒に過ごしても、見ている景色は少し違う。


でも、それくらいの距離がちょうどいい。服がその間を、ゆるくつないでくれるのかもしれません。


katayama

category : Wear